前回は代表的な国産LLMを紹介したね。今回は、そのモデルたちが実際にどんな現場で活躍しているのか、具体的な活用シーンを見ていくよ。
行政:文書作成や住民対応の効率化
いちばんわかりやすいのは、やっぱり行政の現場だね。議事録の自動作成、行政文書の要約、住民からの問い合わせ対応(チャットボット)などが源内プロジェクトを通じて広がりつつあるよ。
富士通の「Takane」は、ある中央省庁のパブリックコメント業務を効率化する実証実験に成功していて、従来1ヶ月以上かかっていた意見の分類や要約作業を約10分で完了させたんだって。職員がより重要な政策判断に時間を割けるようになる、という効果が見えてきているんだ。
補足:Takaneの事例は第3回でも紹介済み。行政分野の代表事例として、今回は「業種別まとめ」の文脈で再登場した形。
金融:契約書レビューとコンプライアンス
契約書のレビュー、コンプライアンスチェック、顧客向けレポートの生成など。データを国内に保管できるLLMは金融規制との相性がよくて、メガバンクを中心に導入検討が進んでいるよ。
みずほFGでは、金融特化のLLMがオンプレミス環境で高い正答率を達成したという事例も報告されているんだ。機密性の高い金融データを外部に出さずに処理できる、というのが大きな安心材料になっているんだね。
補足:みずほFGの金融特化LLMは、海外のオープンモデル「Qwen3-32B」をベースに、社内データで追加学習したもの。フルスクラッチの純国産モデルではなく、「海外の基盤モデル+国内での特化チューニング+オンプレミス運用」という組み合わせ。データを外に出さず処理できる点が評価されているのは事実だよ。
医療:カルテ要約と患者向け説明文
カルテの要約、医療論文の検索・要約、患者向けの説明文生成。医療情報はとくに機密性が高いから、データを海外に送らずに済む国産モデルへのニーズが急速に高まっているよ。
製薬分野では、中外製薬がSB Intuitionsの「Sarashina」を活用した臨床開発AIエージェントの共同研究を進めている例もあるんだ。
製造業:技術マニュアルの多言語化
技術マニュアルの多言語変換、品質管理レポートの分析、社内ナレッジベースの構築など。日本語の専門用語を正確に扱える国産LLMは、製造現場の文書処理でとくに力を発揮しているよ。
電力・エネルギー分野でも
中国電力では、NTTの「tsuzumi 2」を用いた業務特化型LLMの構築を2026年1月から開始していて、電力業務に特化した実用化が進んでいるよ。
補足:tsuzumi 2は第3回で紹介した「1GPUで動く30Bモデル」。省インフラで導入しやすい特性が、電力インフラ企業のような業務特化型構築にもマッチしている。
なぜ「機密性が高い分野」で選ばれるの?
ここまで見てきた事例、共通しているのは「機密性の高さ」だよね。理由をまとめるとこんな感じ。
- データを国内に置ける:海外サーバーに情報を送らずに処理できる
- オンプレミス運用が可能:自社・自組織のインフラ内で完結させられるモデルが多い
- 日本語特有の表現に強い:専門用語や行政文書特有の言い回しを正確に理解できる
一方で、これは海外の最先端モデルを全面的に置き換える動きではなくて、「機密性が求められる業務は国産LLM、それ以外は海外の最先端モデルも併用」という使い分け戦略が、2026年時点の日本企業の現実的な選び方になっているよ。実際、MM総研の調査では国産LLMに「期待している」企業は72%にのぼり、導入企業・検討中企業に限れば約90%が期待を示しているんだ。
補足:90%は「導入企業・検討中企業に限れば」という条件付きの数字。全企業を母数にした期待値ではない点に注意。
今日のまとめ
- 行政・金融・医療・製造業・エネルギーなど、機密性が求められる分野で導入が加速
- 「データを国内に置ける」「オンプレミス運用できる」ことが選ばれる最大の理由
- 海外モデルの完全な置き換えではなく「使い分け」戦略が主流
次回は、国産LLMがこれからどう進化していくのか、今後のロードマップを見ていくよ!
参考情報
- 富士通プレスリリース「パブリックコメント業務に大規模言語モデル『Takane』を活用」(2026年2月3日)
- 中国電力・NTTドコモビジネス共同発表「NTT版LLM『tsuzumi 2』を活用した電力業務特化型LLMの構築および検証を開始」(2026年1月26日)
- MM総研「本番迎える生成AI/LLM市場、国内ベンダーに期待集まる」
この記事はShin’s Gen AI Labの「国産LLM入門」シリーズ第4回です。

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