前回は、生成AIによって「声」や「映像」の本物らしさが急速に高まり、それに伴って特殊詐欺の手口も変化していることを見てきました。今回は、家族を守るために今日から実践できる、具体的な対策を紹介します。
対策1:家族だけの「合言葉」を決めておく
もっとも効果的な対策のひとつが、家族内だけで通じる「合言葉」をあらかじめ決めておくことです。声や映像がどれだけ本物そっくりでも、AIはその合言葉までは知りません。
合言葉は、他人には推測しにくい内容にするのがコツです。「昔飼っていたペットの名前」「家族旅行で行った場所」など、家族の記憶に基づくものが向いています。SNSに投稿している内容は、他人に知られている可能性があるため避けましょう。
対策2:その場で判断せず、「一度切って、かけ直す」
「今すぐ」「誰にも言わずに」——こうした急かす言葉や、他言を禁じる言葉は、詐欺に共通して見られる特徴です。どれだけ緊迫した内容に聞こえても、その場で送金や個人情報の提供をしないことが鉄則です。
一度電話を切り、自分が普段から知っている連絡先(電話帳に登録済みの番号)に、こちらからかけ直して確認しましょう。相手からかかってきた電話にそのまま応じるのではなく、自分から確認の連絡を取り直すという手順を徹底することが、有効な防御になります。
対策3:知らない番号、特に国際電話には出ない
前回紹介したとおり、2025年に詐欺に利用された電話番号のうち、国際電話番号は前年から95.4%も増加し、全体の75.5%を占めています。「+(プラス)」から始まる見慣れない番号からの着信には、その場で応答せず、留守番電話に案内する設定にしておくのも有効な対策です。
- 知らない番号には出ない、留守電機能に任せる
- スマートフォンの「不明な発信者を消音」機能などを活用する
- 留守電の内容を確認し、必要であれば折り返す
対策4:SNSの投資広告は、まず「なりすまし」を疑う
前回紹介したとおり、著名人になりすました投資広告による被害は、2026年に入って前年の約2.5倍というペースで急増しています。SNSでこうした広告を見かけたときは、次の点を確認する習慣をつけましょう。
- その著名人の公式アカウントで、同じ情報が発信されているか確認する(広告や誘導先のアカウントだけを信じない)
- 勧められた投資アプリや暗号資産が、実在するものか検索して確認する
- 振込先が個人名義の口座だったり、振込のたびに口座が変わったりする場合は、詐欺を疑う
そして、なにより覚えておきたいのが「著名人が無料で投資教室を開いたり、確実に儲かる話を無料で教えてくれたりすることは、基本的にない」という原則です。「必ず儲かる」「元本保証」といった言葉自体が、大きな注意信号です。
知っておきたい、「本物」がやらないこと
警察庁は、本物の警察官や検察官が行わない行動として、次の点を明確に示しています。
- SNSで連絡することはありません
- 警察手帳や逮捕状の画像を送ることはありません
- 電話やビデオ通話で金銭を要求することはありません
金融機関についても同様に、電話やメールで暗証番号や口座情報を尋ねることは基本的にありません。「相手が名乗る組織が、本当にそんな連絡の仕方をするか」を思い出すことも、有効な判断材料になります。
次回予告:それでも「あれ?」と思ったときにできること
対策を知っていても、実際に電話やメッセージを受け取ると冷静になれないこともあります。最終回となる次回は、違和感に気づいたときのサインと、相談できる窓口を紹介します。

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