前回は、家族の合言葉を決める、その場で判断せずかけ直す、知らない番号には出ない、そしてSNSの投資広告はなりすましを疑うという4つの対策を紹介しました。最終回となる今回は、それでも「あれ?」と違和感を覚えたときに、どう行動すればよいかをまとめます。
共通して見られる「要求のパターン」
詐欺の具体的な手口は日々変化しますが、次のような要求が出てきた場合は、一度立ち止まって疑ってみることが大切です。
- 「今すぐ」「今日中に」など、極端に急がせる
- 「誰にも言わないで」「家族にも内緒で」と口止めする
- 聞いたことのない口座への振り込みを求める
- ギフトカードや電子マネー、暗号資産での支払いを求める
- ビデオ通話の途中で、通信状況を理由に音声や映像が不自然に途切れる
- 「必ず儲かる」「元本保証」など、投資でありえない断定をする
これらは、詐欺の実行方法そのものではなく、結果として現れる共通のサインです。ひとつでも当てはまったら、前回紹介した「一度切って、かけ直す」を実行するタイミングです。
迷ったときに相談できる窓口
「詐欺かもしれない」と思ったとき、一人で判断せず、相談できる窓口を知っておくことも大切な備えです。
- 警察相談専用電話「#9110」:事件かどうか判断に迷う相談ごと全般に対応
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」:契約や支払いに関するトラブル全般の相談窓口
- 家族や身近な信頼できる人:まずは一人で抱え込まず、誰かに話してみる
警察庁は、特殊詐欺への対策として、家族間で被害防止の意識を高めることの重要性を呼びかけています。「困ったら、まず身近な人に話す」という習慣そのものが、大きな防御になります。
もし被害にあってしまっても、恥ずかしがらずに届け出る
万が一、実際に振り込んでしまった場合や、個人情報を伝えてしまった場合でも、自分を責めすぎる必要はありません。AIによって「本物らしさ」の精度が上がっている以上、誰にでも起こりうることです。
大切なのは、気づいた時点ですぐに警察や金融機関に相談することです。早い段階での相談が、被害の拡大を防ぐことにつながります。
なお、第1回で紹介したとおり、2026年8月にはデジタル庁を中心とする7府省庁が、SNS事業者に対してなりすまし詐欺広告への対策強化を要請しました。私たち一人ひとりの心構えに加えて、広告が流れる「入口」側の対策も、少しずつですが動き始めています。
まとめ:確認の手間を惜しまないことが、一番の備え
全3回にわたって、AIが関わる詐欺の実態と対策を見てきました。
- 第1回:AIによって「声」や「映像」の本物らしさが向上し、電話だけでなく著名人なりすまし型の投資詐欺広告も急増している
- 第2回:家族の合言葉、一度切ってかけ直す、知らない番号には出ない、SNSの投資広告はなりすましを疑うという4つの基本対策
- 第3回:共通する要求パターンに気づく、迷ったら相談窓口へ、被害にあっても早めに届け出る
AIが「本物そっくりの嘘」を作れる時代だからこそ、一手間かける確認の習慣が、これまで以上に大切な防御になります。この記事が、あなたと、あなたの大切な家族を守るきっかけになれば幸いです。
出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」、警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ(ニセ警察詐欺の特異な手口/SNS型投資詐欺 ほか)、デジタル庁「SNS等におけるなりすまし詐欺広告に関する対策強化のための7府省庁合同要請の実施」(2026年8月7日)

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